解説
「もえつき」は対人援助職に多く、一種の職業病とさえ言われる。
長く続けていくためには、何が必要なのか?
援助職にこそ、十分なセルフケアが必要……長年援助の仕事に携わってきた著者が、実感に満ちた解説を ソフトなタッチでやさしく綴る。
スーパーバイズやラインケア、援助専門職に必要なデタッチメントについても他にはない示唆に富んだ内容に なっている。
心和むイラストを添えた豊富なチェックリストも魅力。 援助職による、援助職のための本。
目次
はじめに 援助職にこそメンタルヘルスケアが必要
1 なぜ援助職にメンタルヘルスケアが必要か 援助職はなぜ燃えつきやすいのか なぜ援助職を選んだのか 新人とベテランは要注意
2 こんな症状がはじまったら 「もえつき」の兆候チェック
・こんな症状はありませんか?
-「もえつき」の兆候チェック 休みたいけど休めない あなたを縛る考え
・こんなメッセージを自分に言っていませんか?
-自分を縛る
私だけが一生懸命やっている
過剰なストレスを抱える
私なんかいなくてもいいのでは……
ゆるせない、信じられない
私は正しい
私はだいじょうぶ
仕事を休みがちになる
援助職の課題
・自分の今の状態を知るために
-「もえつき」チェック
3 「もえつき」のプロセスをとらえる
「もえつき」のプロセス
事例1 Aさん(看護師)
事例2 Bさん(教師)
プロセス1 イライラする、不平不満が多くなる
プロセス2 忙しそうにする、権威的にふるまう、休みがちになる、怒りの感情をもつ
プロセス3 身体に症状がでてくる
プロセス4 転職、退職を考える
プロセス5 今まで以上に仕事をする、強迫感、うつ状態、アルコールに逃げる
・アルコールに依存していませんか?
-アルコールチェック ・うつ病ってどんな状態?
-うつ病チェック
4 何が原因なのか
「もえつき」の背景となるもの
背景にある「共依存」という問題
スコット・ジョンソン(カウンセラー)の話
・自分に目を向けましょう
-共依存チェック 境界線を引く
・境界を引けていますか?
-適切な境界のチェック 報われ感(感謝・賞賛・評価)が得られないとき
・共依存的援助と適切な援助のちがい
喪失を体験したとき
・グリーフワークとは
-深い悲しみの過程
5 回復とセルフケア
回復とはなにか
・回復のチェック表
むりをしないで生きる
・こんなふうに考えを変えてみましょう
-むりをしないで生きるコツ セルフケアとは
・自分のニーズを満たしていますか?
-セルフケア20のチェック 「もえつき」の予防
・「もえつき」を防ぐライフスタイルの提案
6 援助専門職として必要なこと
デタッチメント(分離)とは
・デタッチメントできていますか?
-専門家としての距離のとり方チェック
援助者が「もえつき」に陥る行動傾向
スーパーバイズを受ける
職場におけるラインケア
おわりに 援助職をつづけていくために
水澤都加佐のプロフィール
ソーシャルワーカー。
’75年よりアメリカで、アルコール・薬物専門のソーシャルワーカーとして、EAP(職場のアルコール対策 )、インタベンション(介入)、家族プログラム、集団療法、共依存やグリーフへの援助、コンフリクト・リソリューション( メディエーション)、カップル・カウンセリング、ナラティブ・セラピーなどのトレーニングを受ける。
神奈川県立精神医療セ ンターせりがや病院・心理相談科長をへて、’94年より(株)アスク・ヒューマン・ケア研修相談センター所長。
’05年、横浜にHealing&Recovery Institute を開設。
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書籍
誰かの役に立ちたいとがんばっているうちに、いつしか自分自身が消耗し、人と関わることが苦痛になって……。極度に進行した<もえつき>は、人生そのものを破壊してしまうのです。<もえつき>の進行をくいとめる方…