2023年3月30日

特定非営利活動法人ASK
事業部アスク・ヒューマン・ケア

 現在、アスク・ヒューマン・ケア(以下、AHC)に寄せられているさまざまなお声を受け、以下に、AHCならびに特定非営利活動法人ASKの方針、考え方について記させていただきます。関係する方々への確認などに時間を要し、対応が遅くなりましたことを、お詫び申し上げます。

 今回、当団体事業部公式Twitterにおいて、性被害に遭われた方々の痛みを矮小化しているとご指摘・ご批判をいただいた投稿に関し、性被害に遭われた方々への配慮を欠くものであったと深く反省しております。誠に申し訳ございませんでした。投稿は削除させていただきます。

 当団体として、性加害行為を許容する意図は一切ありませんし、依存症という病気であることが性加害の免罪符になるとは全く考えていません。
 山口達也氏(以下、山口氏)の事件については、すでに被害当事者・ご家族との和解が済んでいること、また当団体は山口氏の考えを代弁して語る立場にないことから、触れることを躊躇しておりました。
しかしながら、多くのご指摘・ご批判をお寄せいただく中で、当団体としてできる範囲でご説明させていただく必要を感じております。

(一)
 当時、山口氏は飲みすぎが原因で入院したものの、依存症治療を受けることがないまま退院し、すぐに大量飲酒をしています。その酩酊状態で事件を起こしました。原因のひとつは、依存症の治療と回復に取り組んでいなかったことであると、当団体では考えています。
 アルコール依存症という病気は、飲酒のコントロールができない、飲酒中心の生活になる、耐性や離脱症状が生じる、といった中核症状に加え、依存が進行する中で、飲酒運転、酩酊下での暴言・暴力、子どもの虐待など、さまざまな問題行動のリスクが高まります。性加害や性被害も、酩酊下でのリスクのひとつです。背景にある依存症の治療・回復を進めていかない限り、再発と問題行動のリスクは高いままとなります。

(二)
 現在、山口氏は依存症からの回復プログラムに取り組み、断酒を継続されています。回復を続けていく中で、過去を振り返り自分自身の問題と向き合うこと、自らの経験を繰り返し語ること、その経験を役立てる機会を持つことは、加害を繰り返さないためにも必要なプロセスであると、当団体は認識しています。
 依存症からの回復を進めていくことは、再加害を防ぐことにつながります。これは、回復が優先という意味ではなく、自らの行為とその結果に「自分として責任をとる(法的な責任とは別)」ためには、断酒してしらふの状態になることが必要不可欠であるからです。

(三)
 にもかかわらず、当団体事業部公式Twitterにおいて、団体としてのスタンスの説明すらしないで、性被害に遭われた方々の痛みを矮小化する内容の投稿をしたことは、性加害の再発防止どころか、二次加害に直結するものでした。性被害に遭われた方々にとっては特に、危機的な状況を作り出してしまったと思います。そのことに思い至らず、本当に申し訳なかったと思っています。
 今後のTwitter運営につきましては、しばらく休止して、発信を受け取る側である皆さまの心理的安全性を高められるよう、性被害等にともなうトラウマケアの専門家の方々とご相談しながら、再発防止の対策を練って、丁寧に行なってまいります。また、Twitterアカウントの担当者を交代させていただきます。再開時に改めて方針等をお伝えします。

 今回の件に関して重ねてお詫び申し上げます。
 当団体としては、アルコールをはじめとするさまざまな依存症の予防と回復支援に取り組むことで、関連問題の低減や加害予防にも寄与できたらと願っております。
その一環として、当団体としては山口氏の回復を見守り、アルコール依存症の予防と早期発見につながる活動をサポートしていきたいと考えています。

 なお、被害当事者・ご家族は、事件について語られるのを望んでおられないと聞き及んでおります。マスメディアの皆さまにおかれましても、当該事件に関する取材依頼等はお控えくださると幸いです。